電磁気の3D実験室

磁石を動かすと、
なぜ円板は回る?

アラゴの円板から、誘導電動機へ。触れて確かめる5つのステップ。

3Dを起動しています
1つのHTMLだけで動作 / オフライン対応
MODEL 01アラゴの円板
円板を固定中
視点を変える
ドラッグで360°回転 / ホイール・ピンチで拡大
磁石と円板は、触れていません。白い目印は、円板に付けた印です。
再生中
磁石の速さ ns
12.0回/分
円板の速さ n
0.0回/分
すべり s = (ns − n) / ns
100.0%
速さは観察用の低速設定です。実機の定格値ではありません。正の回転方向は、上から見て反時計回りです。電流・力の矢印は、見やすいよう立体に重ねて表示しています。
条件を変えて、原理を確かめる

同じ速さになったら? 磁石を止めたら?

条件を変えると、3D表示と回転速度が変化します。

逆回転 −24停止 0正回転 +24
なし大きい
誘導電流の目安100%
電磁トルクの目安100%
目安は、導体が停止し磁界が12回/分で動くときを100%とした、この教材内の相対値です。矢印・粒の動きは模式表示で、実際の電流密度や電子の速度ではありません。
電流の向き・力の向きを、もう少し詳しく

電流を生む段階と、力を生む段階は別です。

まず、円板のある場所を貫く磁束が変化し、電流を流そうとする起電力が生まれます。これが電磁誘導です。銅板には電流の通り道があるため、内部をめぐる渦電流が流れます。次に、その電流が磁界から力を受けます。電流が生まれる説明にはファラデーの法則とレンツの法則、力の向きにはフレミングの左手の法則を使います。[1] [2] [3]

前側と後ろ側では、渦電流の向きが逆です。

正回転で円板が磁石より遅い場合を考えます。N極を上、S極を下にしたので、磁界は下向きです。磁石が近づく前側では下向きの磁束が増え、それを妨げる上向きの磁界を作る向きに電流が流れます。上から見ると反時計回りです。磁石が遠ざかる後ろ側では、下向きの磁束の減少を妨げるため、逆向きの渦になります。この2つの渦のうち、磁石の真下付近を通る部分の電流は、どちらも円板の外向きです。ループの形や大きさそのものは模式化しています。[2] [3]

電流の戻り道があっても、回転力は相殺されません。

磁界は円板全面に一様にかかっているのではなく、磁石の近くで強くなっています。したがって、行きと戻りの電流が受ける力を足しても、一般にはゼロになりません。この磁界の局在と電流分布が、円板全体を回す作用につながります。[2]

磁石から見た円板の動きに注意します。

フレミングの右手の法則で電流の向きを考えるときは、磁石から見た導体の相対的な動きを使います。円板が磁石より遅いなら、磁石からは円板が逆向きに横切って見えます。「磁石の動く向き」をそのまま「導体の動く向き」にしてしまうと、電流の向きを逆に判定してしまいます。[1]

この3Dモデルで表したこと・省略したこと

円板・磁石・軸・導体棒・短絡環・固定子コイルは、立体の頂点・面からなる3Dメッシュです。ブラウザ内のWebGLで、視点と物体の位置に合わせて毎フレーム描画しています。外部画像、動画、CDN、通信は使用していません。

回転運動は、電磁トルクが磁界と回転子の速度差に比例する教育用の近似で計算しています。負荷は回転速度に比例する抵抗として扱います。したがって、実機の最大トルク・始動電流・効率・定格すべりを求める用途には使えません。磁界分布、電流ループ、矢印の長さ、粒の動きは説明用で、電磁界解析の結果ではありません。

電流が立ち上がる際の時間遅れ、鉄心の磁気飽和、漏れ磁束、表皮効果、回転子電流の位相遅れ、導体棒の斜め配置は省略しています。「同じ速さ」の電流・力がゼロという表示も、この近似で過渡成分を省いた結果です。

誘導電動機は2極の三相かご形を模式化しています。外側のコイルは静止し、N側・S側の目印だけが回転磁界の位置を示します。目印は実在する永久磁石ではありません。回転子の導体棒と上下の短絡環が閉回路を作り、中心の鉄心は内部を見せるために透過表示しています。[4]

アラゴの円板では磁石を動かす外部の装置が、誘導電動機では電源が、運動のエネルギーを供給します。磁石だけで無限に仕事ができる、という意味ではありません。[3]

使い方・操作の一覧

「01」から「05」へ進むと、説明に合う条件が自動で設定されます。「02」「03」は円板を固定した状態で一時停止し、矢印を落ち着いて読めるようにしています。「04」で固定が外れて回り始めます。

ドラッグで視点を変え、ホイールまたは2本指のピンチで拡大縮小します。「真上」は渦電流と回転方向、「横」は磁石と円板の隙間を確認するのに適しています。3D画面にフォーカスすると、矢印キーで視点、+・−キーで大きさを変えられます。

「B 磁界」「I 電流」「F 力」は表示だけを切り替えます。「磁界あり」を外したときに初めて、力学計算上も磁界がなくなります。「磁石を止める」は磁界を消さずに回転速度だけをゼロにします。

「同じ速さにする」は回転子の速度を外部操作でそろえ、その瞬間を一時停止します。負荷があれば、再生後に回転子が遅れ、再び電流と力が生まれます。負荷ゼロの理想条件なら、等速を保っても回す力は不要です。

回転中に円板を絶縁体へ切り替えても、慣性があるので瞬時には止まりません。始動の違いを見るには、材質を選んでから「始動をやり直す」を押してください。

HTMLファイルを保存し、ブラウザで開いて使います。インストールやサーバー起動は不要です。ブラウザがWebGLを使用できることが必要です。

参考資料・記号の読み方

B は磁束密度を表し、この教材では磁界の向きを示しています。I は電流の向き、F は導体に働く力です。電流の矢印は慣用的な正電荷の流れの向きで、電子の動く向きとは逆です。

  1. オリエンタルモーター「ACモーターの動作原理1(アラゴの円板)」
    磁石と円板の非接触の配置、電磁誘導、力、速度差を確認しました。
  2. OpenStax, University Physics Vol. 2, §13.5 “Eddy Currents”
    導体内の渦電流、磁界に出入りする部分での電流の向き、磁気制動と絶縁体の違いを確認しました。
  3. OpenStax, University Physics Vol. 2, §13.2 “Lenz’s Law”
    誘導電流が磁束の変化を妨げる向きに流れることと、エネルギーの関係を確認しました。
  4. オリエンタルモーター「ACモーターの動作原理2(回転磁界)」
    円板から回転子への置き換え、かご形回転子、交流による回転磁界を確認しました。

解説文・立体形状・プログラムは本教材用に作成したものです。実機の設計図やメーカー製シミュレーターではありません。参考資料を開くときだけインターネット接続を使います。